■ はじめに:「もう歳だから」は思い込みかもしれない
「子どもの頃は速かったのに、今はからっきし」
「運動会で子どもに負けたのがショック」
「ただのジョギングじゃなくて、“短い距離を速く”走りたい」
そう思ったこと、ありませんか?
実は最近、**「大人になってから足を速くする方法」**が注目されています。
筋肉の衰えや体力の低下があっても、科学的に見れば“改善の余地”は十分にあることが分かってきたからです。
この記事では、「初心者でも今日から取り組める」かつ「ちゃんと効果が出る」走力アップの方法を、体験談と専門家の知見をもとに丁寧に解説します。
■ 背景:大人の「スプリント力」は本当に鍛えられるのか?
まず大前提として、“足が速い”とは何かを理解することが第一歩です。
▶ スプリント力を支える3つの要素:
- 爆発的な筋力(特に太もも・股関節)
- 地面を強く蹴る力(地面反力)とフォーム
- 加速・最高速を維持するための神経的な動きの連携
若年層ではこれらが自然に保たれていますが、大人になると神経系や柔軟性、筋力が徐々に落ちるため、速く走る感覚が失われていきます。
しかし、逆に言えば──
**それらを再び鍛えることができれば、「足はまた速くなれる」**ということです。
■ 方法:まずは「やってはいけないこと」から知っておこう
多くの初心者がやってしまう誤解があります。
❌ ありがちなNG行動
- いきなり100m全力ダッシュ → 足がもつれて転倒
- 重いウェイトをつけて走る → フォーム崩れて膝を痛める
- 子どもと同じ練習をやる → 大人の体には負荷が高すぎる
足を速くする=短距離トレーニングですが、中身は筋トレ・神経トレ・フォーム修正など多面的です。
まずは「基礎を整える→段階的に負荷を上げる」が安全かつ確実なアプローチになります。
■ 段階①:まずは股関節と体幹から整える(走りの土台)
多くのコーチや実践者が口を揃えて言うのが、「走る前に“動ける体”をつくる」こと。
▶ 股関節・体幹が弱いとどうなる?
- 膝だけで蹴ろうとしてしまい、推進力が弱い
- 足が前に出にくく、歩幅(ストライド)が狭くなる
- 腰が落ちてスピードが出ない
▶ 実際のトレーニング例(Asuka Sportsコーチより)
- ヒップリフト(お尻を引き締める)
- ドンキーキック(四つ這いで片足蹴り)
- プランク+ニーアップ(体幹×脚の連動)
これらは1日5〜10分/週3回程度からでOK。
まずは「走る前の体づくり」を意識するのがポイントです。
■ 段階②:「速く走るフォーム」を理解しよう(100mを4分割)
東洋大学陸上部では、スプリントを以下の4つのフェーズに分けて考えています。
| フェーズ | 意識する動き | トレーニング方法 |
|---|---|---|
| スタート(0〜5m) | 前傾姿勢/地面を強く蹴る | 坂道ダッシュ・ジャンプ系 |
| 加速(5〜20m) | ストライドを徐々に広げる | レッグドライブ・ハイニー |
| 中間疾走(20〜50m) | 上半身の安定/地面反力の活用 | ミニハードル・バウンディング |
| 速度維持(50〜100m) | フォームを崩さず走りきる | シャドーラン/動画チェック |
初心者の多くは「加速期」と「フォーム維持」の両方で失速します。
まずは10m〜20mまでを正確に走る練習に集中すると効果的です。
■ ここまでのまとめ
| ステップ | 内容 | 目標 |
|---|---|---|
| 1 | 股関節と体幹を鍛える | 安定したフォームの土台をつくる |
| 2 | 短距離の基本フォームを理解する | 速さの“意味”を知る |
| 3 | 加速・初速の動作を練習する | 「遅い理由」をひとつずつ潰す |
■ 段階③:「加速力」を鍛える具体的なトレーニング法
大人が“速くなった”と実感しやすいのは、最初の5~10mの動き。
ここを改善するには、筋力と反応スピードを同時に鍛える方法が有効です。
▶ 方法①:坂道ダッシュ
やり方:
- 傾斜5~10度ほどの坂道で、15m程度の距離を全力ダッシュ
- 1本走るごとにしっかり休憩(心拍が落ち着いてから)
- 5~8本×週1~2回でOK
効果:
- 前傾姿勢と脚の引き上げを自然に強化
- 地面を強く蹴る力(地面反力)も向上
- 負荷は大きいが、無理なくスタート練習になる
▶ 方法②:KAATSUトレーニング(※中〜上級者向け)
やり方:
- 太ももに専用ベルトを巻いて軽いスクワットやレッグカールを行う(ジムや専門施設推奨)
- 負荷は通常の20~30%でも十分効果あり
効果:
- 筋肉量の増加(大腿四頭筋・ハムストリング)
- 筋出力の立ち上がりスピードが向上
- 短期間でも成果が出やすい(8日間実験で加速力改善の報告あり)
注意:
- 血流制限トレは安全管理が必要。自己流は禁止
- 基本はトレーナー指導のもとで行う
▶ 方法③:レジスタンス・スプリント(ベスト or パラシュート)
やり方:
- 軽めのウェイトベスト(体重の5~10%程度)を着て10~15mダッシュ
- または小型パラシュートを背負って走る
効果:
- 蹴り出し強化・フォーム矯正に効果あり
- 特に「最初の一歩が重い」人におすすめ
注意:
- 負荷が強すぎるとフォームが崩れる → 軽量&短距離で十分
- 週2回以下で十分。やりすぎ厳禁
■ 段階④:フォームとスピード維持力の改善
速くなってくると見落としがちなのが、「フォーム維持」と「疲労への耐性」。
▶ 方法④:シャドーラン&スマホ撮影
やり方:
- 室内や公園で「走っているフリ」を横からスマホ撮影
- 実際のランと比較して腕振り・膝の高さ・体の傾きなどをチェック
効果:
- フォームの「崩れ癖」に早く気づける
- 周囲の景色に左右されない集中力の練習にも
▶ 方法⑤:30秒インターバル走(体力強化)
やり方:
- 20~30秒間“やや速め”で走り、90秒歩いて休憩(4~6本)
- 呼吸が整ってから次の本へ
効果:
- スピード維持能力を向上
- 疲労時の姿勢維持力・心肺持久力アップ
- 週1~2回で十分な効果
■ ケガ予防の工夫:40代以降は「回復が命」
速さを求める練習には、「リカバリー」と「柔軟」が必須です。
| ケア方法 | 効果 |
|---|---|
| ストレッチ(特にもも裏・お尻・ふくらはぎ) | ケガ予防・疲労軽減 |
| フォームローラー or テニスボール | 筋膜リリース/痛み予防 |
| 睡眠・栄養・プロテイン補助 | 回復を早める/成長を促進 |
→ “練習しない日こそ成果が伸びる” を意識することが、長期的成功の鍵です。
■ 実践プラン:3ヶ月で効果を実感するトレーニング例
| 週 | トレーニング内容(例) |
|---|---|
| 1〜2週目 | 股関節・体幹強化(自重)+ウォーキング |
| 3〜4週目 | 坂道ダッシュ/フォーム確認(動画) |
| 5〜8週目 | レジスタンス走/シャドーラン+柔軟 |
| 9〜12週目 | インターバル走+フォーム撮影→修正練習 |
→ 筋肉痛が出る日はしっかり休む・2日連続で全力を出さないルールを守れば安全。
■ まとめ:「速くなる」ことは“動ける自分”を取り戻すこと
大人になって「もう速くはなれない」と思っていた人ほど、
変化に気づいたときの感動は大きくなります。
- 子どもに追いつけた
- 階段が楽になった
- 背筋が伸びて自信が出た
速さは記録だけでなく、日常に自信を取り戻す力でもあります。
🔗 出典一覧
- Eight days KAATSU‑resistance training improved sprint but not jump performance(J-STAGE)
- The use of wearable resistance and weighted vest for sprint enhancement(Nature Communications)
- 短距離走を4つの局面で考える!(東洋大学 陸上部)
- 大人の短距離走でのタイム向上には、股関節の強化が重要(Asuka Sports)
- Young adult looking to get back into sprint training in NYC(Reddit / r/Sprinting)
