■ 急上昇した「富良野の地価」、何が起きている?
2025年、北海道・富良野市が全国で最も住宅地の地価上昇率が高いエリアとなりました。
特に注目されたのはスキーリゾートエリア「北の峰町」。国土交通省の地価調査によれば、前年と比較して31.3%の上昇。5年前と比べると、2倍〜2.5倍近くまで高騰している地点もあります。
例えば、
- 築38年の木造住宅が 6800万円
- 土地付き4LDKの中古住宅が 5500万円
- 新築分譲リゾートホテルの価格帯は 1億〜5億円超
といった、東京23区並の価格帯が「富良野」で現実になりつつあります。
■ 背景にある“外国人マネー”の影
この急騰の背景として、各報道機関は共通して以下の要因を挙げています。
● 円安と国際需要
- 2024〜2025年の為替状況により、海外投資家にとって日本の不動産が割安に見える。
- 富良野はスキーリゾート地として有名で、**ニセコに続く“第二の国際リゾート”**として注目されている。
● 長期滞在と民泊ニーズ
- 外国人観光客が「泊まる場所」から「滞在する場所」へシフト。
- 民泊運用や別荘利用を想定した物件購入が加速。
- 「1億円以下は安い」とする投資家の声もあり、地元感覚とは大きな差が。
● 実際の購入事例
- シンガポールやオーストラリアからの投資家が、現地での内見を通じて購入。
- 一部地域では、**“移住する日本人はゼロ”**という声すら出るほど、外国人比率が上昇しているエリアも。
■ 不安を抱える地元住民の声
報道に登場した地元の方々は、戸惑いや不安を隠せません。
「このエリアに住みたくても手が届かない」
「家を売るよう不動産会社から何度も連絡が来る」
「昔は空き家だった隣が、外国人が買って短期滞在で使っている」
「オフシーズンになると街がゴーストタウンみたいになる」
地価が上がれば、固定資産税も上昇し、生活コストも増える。
とくに年金暮らしや子育て世代にとっては**“富良野に住み続けること”自体が経済的に厳しくなる**という切実な声もあがっています。
■ 「開発=活性化」とは言い切れない現実
外国資本が入り、新しい建物が立ち、観光客が増えることは一見「街が活性化している」ようにも見えます。
しかし、以下の点では“空洞化”が懸念されています。
| 懸念点 | 内容 |
|---|---|
| 地元住民の定住難 | 高騰した価格では新たに住めず、若年層の流入が減少 |
| 短期滞在型の利用 | 別荘や民泊は長期間空室の可能性も高く、日常的なコミュニティが形成されにくい |
| 生活インフラの空洞化 | 常住人口が減ると、小売・学校・医療サービスの継続も危うくなる |
「にぎわうのは観光シーズンだけ。普段の生活は逆に寂しくなった」という証言もあります。
■ では、どうすればいい?考察とヒント
ここからは、今の状況をどう受け止め、どう対応していくべきかを考えていきます。
🧭 1. 「すべてが外国人のせい」ではない構造
まず前提として、地価上昇=外国人だけの影響ではありません。
- 観光政策によるプロモーション
- 国のインバウンド重視方針
- 国内不動産業界の開発利益主導
といった国内側の仕組みや方針も、今回の変化を大きく後押ししています。
「誰かを悪者にする」のではなく、制度や構造のどこに問題があるのかを見極めることが大切です。
🧭 2. 対応のヒント:地域が守る仕組みも存在する
実は、地価高騰や過度な観光化に悩まされた地域では、以下のような取り組みが行われています。
● 土地売買の“事前審査”制度(例:長野県小谷村)
- 一定区域における土地売買を地元自治体が把握・意見表明できる制度。
● 利用規制のガイドライン(例:京都市・鎌倉市)
- 民泊・短期賃貸の営業日数制限や住宅地内での業務用利用制限など。
● 地元優先販売のルールづくり(例:海外リゾート地での事例)
- 開発会社が「地元向け区画」や「価格帯別の分譲」などを制度化する。
富良野ではまだ制度的には明確な対応がないものの、今後の議論の中で**「観光と生活のバランス」をどう取るか**が問われていくでしょう。
🧭 3. 住民が声を上げることの意義
報道に住民の声が多く載るようになった今こそ、地域の声が制度に反映されるチャンスでもあります。
- 自治体に声を届ける
- SNSやメディアを通じて実態を発信する
- 不動産会社と対話する機会を設ける
「不満を持つ」ことは悪いことではありません。地域の未来をどうしたいかを語ることが、その第一歩になります。
■ 最後に:富良野に“住みたい人”が住み続けられるために
地価が上がる、外国人が来る。それ自体がすべて悪いわけではありません。
でも、それによって生活が立ちゆかなくなる人が出てしまうなら、本末転倒です。
リゾート地としての富良野も、日常の暮らしの場としての富良野も、どちらも大切にできるように。
必要なのは、「観光の発展」と「住民の安心」が矛盾しない未来を描くこと。
今の不安は、“新しい秩序”をどう作るかを考えるタイミングに来たというサインなのかもしれません。
