なぜ「年利7%の不動産ファンド」は危ないのか?|“うまい話”の裏にある構造と実例

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不動産ファンド「利回り7%」の裏で何が起きているのか?

高利回りの魅力に潜む違和感

「年利7%保証」――この数字に、心が少し揺れた人も多いはずだ。銀行預金が年0.002%、国債でも1%前後の時代に、それを遥かに上回る利回り。しかも「不動産」という、現物資産の安定感まで加われば、安心感も相まってつい目が向いてしまう。

しかし、この“おいしい話”には、当然ながらそれ相応の裏がある。

最近注目を集めている「みんなで大家さん」という不動産ファンドが、まさにその象徴のような存在だ。
出資者数は約4万人、累計で2000億円超が集まったが、2025年7月には一部商品の分配金(配当)が遅延する事態が発生。SNS上でも不信感や怒りの声が飛び交った。

「儲かるなら自分でやる」は正論か?

「もし本当にそんなに儲かるなら、他人に出資を募る前に自分でやるのでは?」という疑問を持った人もいるかもしれない。実はそれ、極めて健全な視点だ。

本当に安定して年利7%の利益が出るなら:

  • 自社や親族で完結させて利益を独占する
  • もっと低金利で資金調達できる金融機関に相談する
  • リスクを負ってまで、一般個人から資金を集める理由がない

にもかかわらず「高利回り+小口出資OK+完全おまかせ型」の投資商品が成立しているとしたら、それはどこかに見えづらいリスクがある可能性が高い。


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小口不動産投資の仕組みと落とし穴

小口投資ファンドの基本構造

不動産ファンドの多くは、「匿名組合契約」という形式をとる。これは、運営会社が事業を行い、投資家は資金を出してその成果の一部(配当)を受け取るという形。投資家は事業に口を出せず、出資金の元本保証はない

また、物件そのものを購入するのではなく、出資者が不動産収益を“シェア”する構造であるため、リターンは運用の成功に大きく依存する

みんなで大家さんの事例

今回、遅延が発生したのは千葉県の「ゲートウェイ成田」開発案件に関連するシリーズで、造成や開発が当初計画より大幅に遅れており、現地はほぼ更地のままだという報道もある。

運営側は「グループ会社からの賃料収入の遅延」「工事進捗の遅れ」などを理由に挙げているが、裏を返せば、配当の原資が実際の収益ではなく、新規資金や見込み益に依存していた可能性も示唆される。

また、行政からの業務停止命令や、出資者への説明不足が指摘されており、「高利回りだけが先に立ち、実態が伴っていなかったのではないか」という懸念が広がっている。


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具体的な懸念点:7%の数字の裏にある構造

ポンジスキーム的構造の兆候

一部では「ポンジスキームではないか?」という指摘も出ている。これは、新しい出資者から集めたお金を、古い出資者への配当に充てる仕組みだ。
典型的な兆候としては:

  • 高利回りを謳っているのに、収益源の説明が曖昧
  • 中途解約ができない
  • 配当が実際のキャッシュフローと一致していない
  • 出資金が別の案件に回されている疑いがある

もちろん、すべてが詐欺とは限らないが、「配当原資の正体」が不明確なスキームは非常に危うい

仕組みを支える実体が不透明

特にみんなで大家さんに関しては、以下の懸念が報じられている:

  • 開発が進んでいない土地にも出資を募っていた
  • 許可未取得の段階で契約が結ばれていた可能性
  • 「収益不動産」ではなく「未稼働の開発用地」に出資が集中していた

このような構造では、安定した賃料収入は得られず、「将来うまくいけば儲かる」という希望的観測ベースの利回りでしかない。

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出資者は何を確認すべきか?チェックポイントを整理

表面利回りより「原資」を問う

年利7%という数字を見たとき、まず問うべきは「それはどこから生まれるのか?」という点だ。
たとえば、家賃収入から得られるのであれば、その物件が:

  • 実在しているか
  • 賃貸中か(空室率は?)
  • テナントの信用度は?
  • 継続的に収益を生んでいるか

を確認する必要がある。
開発前の土地なら、「将来何に使われるのか」「許認可は取れているか」「工事は始まっているか」といった進捗と実現性のチェックが欠かせない。

説明資料や契約書に「想定」「予定」「見込み」などの言葉が多すぎる場合は要注意だ。

「流動性」と「換金性」を見逃すな

もう一点、重要なのが資金の引き上げが可能かどうか

みんなで大家さんでは原則として中途解約ができず、「別の商品への移行」や「第三者への譲渡」が必要になる場合もある。
この点は多くの不動産小口化商品で共通しており、表面上は“6ヶ月ごとに配当がある”ように見えても、実際は資金が何年も動かせないことが多い。

急な出費や資金ニーズに対応できない点は、長期で生活設計を考えるうえでも大きなリスクだ。


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行政処分や過去事例から見える警告

「みんなで大家さん」はすでに処分対象に

2024年6月、大阪府と東京都から運営会社に対して30日間の業務停止命令が下された。
主な理由は以下の通り:

  • 物件の造成が完了していないにもかかわらず、それを前提に募集していた
  • 投資家への説明が不十分だった
  • 出資対象に許可未取得の土地が含まれていた

これらはすべて、「投資家が判断を誤る情報提供」があったと行政が認定したことを意味する。

処分後も勧誘活動は再開されており、法的には違反ではないが、投資家としてはこれまでの経緯とリスク説明の透明性を慎重に見極める必要がある。

他の小口ファンドでも似た構図が

「みんなで大家さん」に限らず、類似の小口不動産ファンドでトラブルは散見されている。
以下は、専門家が指摘する典型例だ:

  • 募集時と実際の資金使途が異なる
  • 出資金が別の商品に転用される(資金プール構造)
  • 「投資の見える化」がされておらず、収益源が不明確

特に「物件が動いていないのに配当が続いている」場合は、**新規出資者の資金が原資になっている(ポンジ型)**可能性も出てくる。


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「確実な利回り」は存在しないと心得る

高利回りを前面に出した勧誘では、往々にして“仕組み”や“出口戦略”の説明が後回しにされる。

たとえば:

  • 年利7%という数字は「予定」であり、確定ではない
  • 事業の成功が前提であり、収益化までに時間がかかる可能性
  • 途中での現金化・譲渡が難しい
  • 利益が出なければ配当は止まる/元本も毀損する

といったリスクを、投資家自身が冷静に理解しておく必要がある。

とりわけ「投資初心者向け」「おまかせで不労所得」というコピーがついている商品ほど、裏側のリスクを自分で見抜く必要性は高まる


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まとめ:うまい話の前に「問い」を持つことが最大の防御

「もし本当に儲かるなら、なぜ自分でやらないのか?」
「なぜ機関投資家に売らず、個人に小口でばらまくのか?」
「なぜあえて高い利回りを提示してまで資金を集めるのか?」

こうした問いを立てることこそが、投資における最良のリスクヘッジとなる。

不動産クラウドファンディング、小口投資ファンド、匿名組合スキーム――それぞれ魅力もあるが、“利回り”という数字だけで判断してはいけない

「高利回り」の甘い響きに惑わされる前に、収益の構造、契約条件、事業者の信頼性、そして出口戦略まで冷静に見つめる習慣が、投資トラブルから身を守る第一歩となる。

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🔗 参考・出典

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