“パニおじ”って実は誰でもなるの?──あの行動の正体と社会のしくみ

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▷ この記事で伝えること:

  • 「パニおじ現象」とは何か?いつ、なぜ生まれたのか
  • 専門家による分析:「男性」「不安」「同調圧力」が引き金に
  • 過去に起きた類似の社会現象(トイレットペーパー、たまごっち等)
  • 消費者心理とメディア報道が生む“見えない魔女狩り”
  • 私たちが「次のパニおじ」にならないためのヒント

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■ 「パニおじ」とは何者か?その背景と定義

「パニおじ」とは、主に中年男性が“パニック的に商品を買い占める”ような行動をとる様子を揶揄するネットスラングです。
この言葉が広まったのは、ガンプラやホビー商品の再販イベントにおいて、開店前から店頭に集まり、「パニック的に」店内を走り回ったり、列を乱したりする人々が撮影・報告されたことがきっかけでした。

実際にSNS上では、以下のような報告が相次ぎました:

  • 「朝7時、〇〇のイオンに50代くらいの男たちが並び、開店と同時にガンプラ売り場へ猛ダッシュ。怒号が飛び交っていた」
  • 「あまりに混乱していて、店員さんが泣いていたという投稿を見て胸が痛んだ」

こうした“暴走的な購買行動”をとる中年男性に対して、「パニおじ(パニックおじさん)」というラベリングが始まりました。


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■ パニック購買は「おじさん」だけのものか?──専門家の分析

しかし、そもそも「パニック的な購買行動」は“中年男性”に限った現象なのでしょうか。

明治学院大学の中野暁講師(消費者心理学)によると、コロナ禍の初期に発生した「トイレットペーパーの買い占め」では、全体の約5.8%の人々が“極端な備蓄行動”をとっていたことが分かっています。

さらに、中野氏の分析によれば、そうした行動をとるのは「普段日用品を購入しない人に多い」傾向があり、その中には**“40〜60代の男性層”**が一定数含まれていたといいます。

これは、普段から買い物慣れしていないため、いざというときに過剰に反応してしまう──つまり「不安の制御」が苦手な層であることが指摘されています。


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■ それは“魔女狩り”かもしれない──見えないラベリングの罠

SNSの力で“パニおじ”という言葉は瞬く間に拡散され、以下のような構図が作られました:

  • ✅ 「中年男性」=「自己中心的な暴走者」
  • ✅ 「列を乱す」=「買い占め目的の悪質な転売ヤー」
  • ✅ 「商品を追いかける姿」=「異様」「怖い」

このような単純なイメージ付けは、本当に現場で問題行動をとった人だけでなく、純粋に趣味を楽しんでいただけの人々までも“危険視”する構造を作り出します。

noteユーザーのykprさんは、「『自分もその場にいた』と軽い気持ちで呟いたら、模型界隈全体が“パニおじの巣窟”と化したような扱いを受けた」と語ります。

これは、いわば趣味とアイデンティティの弾圧に近い風潮であり、社会的ラベリングの問題とも重なります。


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■ 実は何度も繰り返されてきた?「パニおじ」的構図の過去例

パニおじ的な“突発的群衆行動”は、過去にも何度か繰り返されています。

● たまごっちブーム(1996年〜1997年)

初代たまごっち発売時、爆発的な人気により全国で「開店と同時に走る親たち」が続出。「子どもにせがまれた親が朝から家電量販店に並ぶ」様子が報じられました。

● トイレットペーパー騒動(2020年・コロナ初期)

「中国からの輸入が止まる」というデマが拡散され、実際には国内生産なのにトイレットペーパーが消える事態に。「スーパーで取り合う光景」も映像で拡散されました。

● Apple製品の発売日(定期的)

iPhoneやAirPods Proの初日販売では、「転売ヤー」「ガチ勢」「動画投稿狙い」などが入り乱れ、徹夜組の騒動が問題化しています。

これらに共通するのは:

  • 限定品・再販・数量制限などの「希少性」
  • 情報が早く拡散される「SNS構造」
  • 不安と焦りから行動が加速する「集団心理」

という要素です。

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■ 変わる「暴走」の受け止め方──“パニおじ”が映す鏡

「パニおじ」という言葉は、中年男性が商品に群がる様子を“珍獣”のように取り上げる風潮をつくりました。しかし、こうした消費者心理の裏には、**年齢や性別とは無関係な“普遍的な不安”**があります。

先述のRM NAVI(リスクマネジメント情報サイト)の解説では、パニック購買の心理は次のように説明されています。

  • ✅ **「他人が買ってる=自分も今動くべき」**という社会的同調圧力
  • ✅ **「不安を物理的な“モノ”で解消する」**という自己防衛行動
  • 「誰もがやっている」ことにより罪悪感が薄れる集団心理

つまり「パニおじ」として可視化されやすい行動は、誰もが持つ不安と衝動が、特定の場面・属性で表面化したにすぎません。


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■ なぜ「中年男性」ばかりが叩かれるのか?──ラベリングの構造

ここで改めて問いたいのが、「なぜ“おじさん”だけが標的にされるのか?」という問題です。

心理学におけるスケープゴート理論では、社会的な不安やフラストレーションが特定の集団に集中し、攻撃対象としてラベリングされやすくなると説明されます。

ガンプラ再販時に暴走したのが“目立ちやすい中年男性”だったことで、SNSユーザーにとって「語りやすく・笑いやすいネタ」に変換されたのです。

実際、Yahoo!知恵袋などでは「パニおじって何が悪いの?他の層にも同じような人いるよね」という投稿も多く寄せられています。
そこでは、“パニおじ”という言葉自体が攻撃の正当化装置として機能してしまっているという指摘も見られます。


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■ “パニック”に名前を与えたことで見えたもの

このような現象に「名前がつく」ことで、逆に私たちは冷静さを失うこともあります。

たとえば、「撮り鉄」という言葉も同様の扱いを受けています。

  • 「一部の過激な撮り鉄が線路に侵入」→全体が“迷惑な存在”とされる
  • 「一部の転売ヤーが暴れる」→ホビー好き全体が“金の亡者”扱い

“パニおじ”という単語も、個人の衝動と社会的属性(年齢・性別)を短絡的に結びつけたものであり、本質的な行動の背景や文脈を捨象してしまう危険があります。

noteや知恵袋の個人投稿者の中には、「自分もその空間にいた。けど自分は走ってない。それでも“同じように見られる”」という葛藤が繰り返し表現されています。


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■ 「パニおじ化」しないために──個人として、社会としてできること

✅ 1. 「自分は冷静でいたい」という意識だけで不安は防げない

私たちは誰しも、「自分はそんなことしない」と思いがちです。
しかし実際には、以下の条件がそろえば、誰もが“パニック購買”に加担してしまう可能性があります。

  • 情報が錯綜している(例:再販数が不明)
  • 他人が行動を始めている(例:SNSで「急げ」投稿が拡散)
  • 限定性が強い(例:「今しか買えない」と感じる)

✅ 2. SNSでの拡散に加担しない「冷却装置」になる意識を持つ

SNS上で「見たまま」「聞いたまま」を投稿することは、何気ない報告のようでいて、次の“パニおじ”を生み出す起点にもなり得ます。

「共有する前に、一呼吸」
情報の真偽・再現性・誇張性を見極める視点は、今や個人レベルで必要なリテラシーです。


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✅ まとめ:ラベリングではなく、現象の“背景”に目を向ける

「パニおじ」は単なる“おじさんの暴走”ではなく、不安・焦り・同調圧力・SNS拡散といった、今の社会に潜む構造的なトリガーが表面化した現象です。

叩くのは簡単ですが、それでは何も変わりません。

私たちができるのは──
「名前で笑う」のではなく、「なぜその行動が起きたのか」を考え、
必要なら「少し距離をとって、熱を冷ます」ことかもしれません。

そしていつか、“誰かのパニおじ化”に共感しつつも冷静でいられる社会を目指していけたらと願います。


🔗 参考・出典:

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