🔰 結論:笑えない“ジョーク”が国民感情を逆なで
「なぜロールス・ロイスを買ったのか?」
フィリピン上院での問いに、ある女性はこう答えました。
「傘がついてたからです」
高級SUV「ロールス・ロイス・カリナン」——その価格、およそ4200万円。
この一言がネット上で拡散され、SNSは瞬く間にミームと怒りで沸きました。
傘で4千万。しかも「公共事業の入札に関与する一族の妻」からの発言。
笑える話のようでいて、多くの人にとっては笑えない現実の象徴でもありました。
🧭 背景:ただの“セレブ発言”ではない、その構造
この話題が炎上した背景には、単なる「お金持ちの軽口」では済まされない事情があります。
◆ 1. そもそも誰の話?
- サラ・ディサヤ氏:建設会社「セント・ジェラルド・コンストラクション」の代表的立場にある一族の妻。
- 夫のパシフィコ・“カーリー”・ディサヤ氏は、かつてフィリピン政府からブラックリスト登録されていた経歴あり。
◆ 2. 28台の高級車コレクションが暴露される
- 上院議員リサ・ホンティベロス氏が公開した情報によると、夫妻は
- ロールス・ロイス・カリナン(₱42M)
- メルセデス・マイバッハ(₱22M)
- **キャデラック・エスカレード、Gクラス…**など
- 合計で**200Mペソ以上(約3.5億円)**にのぼる高級車を保有しているとされる
◆ 3. なのに「ブラック企業」状態?
- 2020年、DPWH(公共事業道路省)は同社をブラックリスト入り。
- それにも関わらず、建設業の認可機関であるPCAB(国家認可委員会)ではライセンスが2026年まで有効とされたまま。
- この「制度の穴」が国会で問題視される。
💢 世論の反応:「傘1本で…」という皮肉と怒り
上記の発言が報じられると、ネット上には以下のような反応が溢れました。
「傘がついてるって…雨の日に困ってる国民をどう思ってるのか」
「庶民はビニール傘すらケチるのに、こっちは“傘でロールス”かよ」
「買い物袋の有料化で怒ってた自分が小さく思える」
「この国の“上級国民ミーム”の進化版が出てきた」
さらにSNSでは、「傘買ったらロールス・ロイスがついてきた」といった風刺ミームが多数拡散。
この現象は、ただのセレブ批判ではなく、**「制度のゆるさ」×「富の偏り」**への怒りの表明でもあります。
🔎 専門的視点から見るこの“ズレ”
◆ 建設業界の制度的穴
- ブラックリスト対象でも別の制度では活動可能な現状
- 政治家からは「制度が連携していない」との指摘多数
- 「契約停止=ライセンス停止」にする法改正の議論が開始
◆ 世界的に見ても、ロールスは“権力の象徴”
実はロールス・ロイス社も過去に贈収賄疑惑で、世界各国の政府から約800億円の罰金を科されたことがあります。
- 航空・エネルギー関連契約において、インドネシア、中国、ロシアなどで高官に賄賂や高級品を提供
- “ラグジュアリー”が権力との癒着の象徴となる例は、世界各地に存在
🗾 日本でも起きている?「高級車ミーム」の構造
フィリピンで起きたこの炎上騒動、「海外の話」と切り捨てられるでしょうか?
実は、日本にも似た**“高級車 × 権威 × ミーム化”**の構造は存在します。
◆ 1. 「外車かぶれ」「セレブ自爆」的ミーム
- SNSではたびたび、高級車やスポーツカーを買った人が“やらかす”動画や発言が拡散
→ 例:「フェラーリ乗ってるのに車庫ない」「雨漏りするランボルギーニ」「車高低すぎてコンビニ入れない」など - これらは「見栄と現実のギャップ」が笑いとして消費される“文化ミーム”となっています
◆ 2. 自動車評論家たちの分析
- 国沢光宏氏は「日本の外車崇拝文化」がSNSミーム化する理由について、 「輸入車に憧れる心理は“社会的な上下意識”が根底にある」と指摘(MOTAなど)
- ベテラン評論家・三本和彦氏は、 「提灯記事(広告まがいの美辞麗句記事)ではなく、消費者は本音とズレに敏感」と語っています(ベストカー誌)
つまり、日本でも「車=ステータス」「それゆえの滑稽さ」という構造が共通しており、フィリピンでの“傘つきロールス”ミームと同質のものが存在しているのです。
🧠 考察:なぜ“傘”がここまで象徴になったのか?
今回のフィリピン事例では、「傘」という小さなモノが一気に国民の怒りを集めました。そこには複数の意味が重なっています。
① わかりやすい“ズレ”の象徴
- 4200万円のクルマを「傘で買った」と言ってしまう感覚
- 日常的に“傘の置き忘れ”や“110円のビニール傘”を使う庶民感覚との落差
→ 小道具である傘が、一気に政治的ズレのメタファーになった
② ミーム化に最適な素材だった
- 「傘がついてたから」という理由がキャッチーかつシュール
- シェア・画像化・パロディ化がしやすく、拡散性が高い
→ 結果として、数多くの風刺ミームが連続投稿される事態に
✅ 選択肢:制度と意識のズレ、どうすれば縮まる?
◼ 制度的な対応(フィリピン側で議論中)
- ブラックリスト=自動的にライセンス停止、という制度連携
- 資産報告義務の厳格化(高額資産・配偶者含む開示)
→ これは日本の入札制度・公職選挙法とも似た課題
◼ 日本においても応用可能な視点
- 権威のある人が“軽口を言ったとき”、どのように社会が受け止めるか
- 高級車やブランド、外見的ステータスに対する「笑い」や「不信感」をどう理解すべきか
→ 単なる炎上や揶揄ではなく、構造的“ズレ”のサインとして活かす視点が必要
💬 まとめ:ロールス・ロイスの傘は、何を守っていたのか?
雨から守ってくれるはずの「傘」。
でもこの話題では、何も守れませんでした。
むしろ、それは“守られる側と、そうでない側”の境界線をくっきりと浮かび上がらせてしまいました。
- 権力と庶民の感覚のギャップ
- 制度と倫理のほころび
- 富と公共性のねじれ
これらすべてが「傘一本」で可視化されたというのが、今回の本質かもしれません。
日本においても、私たちは日常のどこかで同じような“ズレ”に遭遇しているのかもしれません。
「それ、ほんとに傘だけの話?」と、自分にも問いかけてみる価値がありそうです。
