🔍 表に出ない“構造的な利害”が、合意を遠ざけている
ガソリン税に上乗せされている「暫定税率」の廃止を巡って、与野党6党の実務者協議が2025年に入って5回を数えるも、いまだ合意には至っていません。その背景には、表面的な政策論争だけでは見えてこない構造的な政治・財政・税制上の利害対立が存在しており、むしろ「合意しないこと自体」が一部の関係者にとってメリットとなる構造があるのでは、との見方も広がっています。
この記事では、専門家の分析・制度の歴史・個人のリアルな声をもとに、なぜ与野党が合意できないのか、その背後で何が起きているのかを丁寧に追っていきます。
🛢 ガソリン税の「暫定税率」とは?基礎をおさらい
まず前提として、「暫定税率」は1974年の第一次石油危機後に創設されたもので、当初は一時的な措置としてガソリンや軽油に上乗せされてきた税です。
- 現在のガソリン税(揮発油税):53.8円/リットル
- このうち25.1円が暫定税率部分 - さらに消費税(10%)が税額全体にかかる(=Tax on Tax)
これにより、実質的には「税に税がかかる」状態になっており、制度的にも市民感情的にも疑問が根強く残っています。
🧭 合意が進まない理由とその裏側を段階的に見る
以下の流れで深掘りしていきます:
- 専門家の指摘:政策面の構造と制度の矛盾
- 政治的要因:与党内の“総裁選前倒し”論争との関係
- 代替案の混乱:走行距離課税の布石?
- 市民側の実感:中抜き・実効性欠如の懸念
📌 選択肢:本当に問題なのは「廃止すること」ではない?
◆ 木内登英氏(NRIシニアエコノミスト)の分析
「世帯あたり年間9,670円の節約効果があり、GDPを0.1%押し上げる可能性がある」
にもかかわらず、政府は“恒久的財源の確保が必要”としてブレーキをかけているのが現実です。
また、野党は「とにかく廃止を」と訴え、代替財源に言及しないケースが多い。これに対して与党は**“財政責任”を盾に慎重姿勢**を貫いていますが、その背景には「減税競争による政権へのダメージ回避」という思惑もあると考えられます。
◆ 黒瀧泰介税理士(弁護士JP取材)による制度批判
- 消費税がガソリン税に上乗せされている(=二重課税)
- 「形式上は問題ない」とされてきたが、実態は消費者が直接的にダブルで税を払っている
- この構造自体が「制度の継続ありき」になっており、廃止議論が起きるたびに“先延ばし”が正当化される温床になっているとの見解
◆ 自民党内の政局との関係
現在、自民党内では総裁選の前倒し論が浮上しており、これに伴って党内での主導権争いが表面化しています。
このタイミングで「減税」を通すと、首相の手柄になってしまうという内部の力学が存在し、党内の駆け引きが政策合意を曇らせる構図になっている可能性も指摘されています。
🧩 じゃあ代替案はどうなる?
政治側からは「走行距離課税」や「炭素税の強化」などの声も出始めており、ガソリン税が廃止されても別の形で“再徴収”される未来が見え隠れしています。
SNSではこんな意見も:
「廃止しても、どうせ走行距離税で取られるんだろ?」
「ガソリン補助金も、中抜きで末端の価格に反映されていない」
つまり、「合意しない」ことは、市民への還元を避けつつ、新たな徴税スキームへの布石を打つための時間稼ぎでは?という声もあります。
🗣 市民の実感:補助金は「中抜き」、値下がりしない現実
SNSや個人ブログなどでは、政府が進めてきた**「ガソリン補助金」政策の実効性に疑問の声**が相次いでいます。
● 体験例1:補助金が消えた感覚
「補助金ってニュースで言うけど、ガソリンスタンドの値段は全然下がってない。どこに行ったの?」
これは経済学的にも説明がつく現象で、末端価格に反映されにくい補助金構造が背景にあります。中間業者や石油元売りの段階でコストとして吸収されてしまい、**消費者には届かない“空振り政策”**となっているわけです。
● 体験例2:「給付金や補助でごまかす」構造
「給付金ばっかり言うけど、一時しのぎで終わる。構造を直す気がないのでは?」
こうした声が示しているのは、「一時的な支援」ではなく、「制度自体の矛盾(暫定税率や二重課税など)」が問題だという構造的な不満です。
📚 考察:なぜ「合意しない構図」が続くのか?
本質的な問題は、「税制を本気で見直す覚悟がない」政治の構造にあると言えるでしょう。
- 減税すれば支持率は上がる
- でも財源が消えると財政運営に支障が出る
- かといって新税(例:走行距離課税)導入には世論の反発がある
結果として、「議論はするが合意には至らない」という現状維持こそが、最もリスクの少ない選択肢になってしまうのです。
これは政治的には合理的ですが、国民にとっては不利益が温存される構造でもあります。
🕊 見返りを求めない政治家は本当に存在するのか?
ここまで見てきたように、ガソリン税の暫定廃止をめぐる政治の動きには、利害の駆け引きや支持率との綱引きがつきまといます。
では、「見返りを求めない覚悟を持った政治家」は、現実に存在しうるのでしょうか?
● 実例:中曽根康弘元首相の「無私の政治姿勢」
読売グループの渡辺恒雄氏による回顧では、元首相・中曽根康弘氏が派閥より政策、権力より信念を優先し、簡素な生活と政策主義を貫いた姿勢が強調されています。
彼の有名な言葉「風見鶏(weathervane)」の真意は、風向きに応じて体の向きは変えても、足場(信念)は動かさないというものでした。これはまさに、報酬や地位よりも公共の役割を重視する姿勢の象徴といえるでしょう。
● 理論:無私のリーダーシップは“制度次第で可能”
一方、英国の行政学者スティーブン・ブルックス氏は、論文『The Selfless Leader』で「現代政治の問題は能力ではなく、利己性だ」と指摘。
そのうえで、**自己犠牲ではなく“公共の利益に焦点を当てた制度設計”**によって、無私のリーダーシップは育成可能であると述べています。
これは、個人の美徳だけではなく、社会や制度がそうした人物を支えられるかどうかがカギになるという視点です。
🔸この2つの視座は、「無私の政治家」は理想論ではなく、構造と文化次第で実在し得る存在であることを示唆しています。
🧭 まとめ:見えない利害の“足かせ”を読み解く力が必要
ガソリン税の暫定税率を巡る議論は、単なる減税か否かの話にとどまりません。
その背後には、
- 税制の構造的矛盾(Tax on Tax)
- 政治内部のパワーバランス(総裁選含む)
- 財源論と国民負担のせめぎ合い
- 次なる徴税スキーム(走行距離税)の布石
といった複雑な利害の絡み合いがあります。
重要なのは、「なぜ合意できないのか」ではなく、「合意させない構造があるのでは?」という視点を持つことです。
この視点があってこそ、ニュースの裏にある“動き”を読み取れるようになるのかもしれません。
🔗 参考・出典:
