■ 東京都の都営住宅で「消費税未納」発覚。私たちが払う税金とは何だったのか?
2025年9月、東京都が都営住宅事業に関して、長年にわたり消費税を納めていなかったことが明らかになりました。しかもその未納は、直近の数年分を除いて時効により追徴されないという衝撃の展開──。
「えっ、自分たちは毎回10%払ってるのに?」
「未納してもおとがめなしって、ずるくない?」
そう感じた方も多いはず。本記事ではこの問題の全容を整理しながら、税の仕組み・時効制度・税務署の実態まで、生活者目線で丁寧に解説していきます。
■ 速報パート:東京都の“未納”はいくら? どれだけ放置されていた?
まず、今回報道された内容を簡単にまとめましょう。
▷ 問題の概要
- 対象:東京都が運営する「都営住宅」特別会計事業
- 未納額(確認分):約1億3642万円(2019〜2022年度分)
- 2002年度以前から未納の状態だったとされるが、多くが時効で徴収不能
- 東京都議会でも問題視され、都市整備委員会で取り上げられている
🧾 特別会計とは?
都の中でも、特定の事業(この場合は都営住宅の運営)に関する収支を別枠で管理する仕組みです。家賃などの収入があれば、原則として消費税の納付義務が生じます。
■ 背景:なぜそんなに長い間、未納に気づかなかったのか?
東京都ほどの組織が、なぜこれを20年以上も見逃していたのでしょうか。そこには行政特有の構造と、税制度の盲点がありました。
◉ “自分に甘い”構造的問題
- 都の特別会計事業は「外部との取引」が少なく、内部で完結しやすい
- 消費税は自己申告制度。チェックしなければ誰も気づかない
- 税務署の調査も限られており、特別会計のような「公共部門」は後回しになりがち
→ 要するに「見逃されやすい構造」だったわけです。
◉ 消費税にも“時効”がある
これも驚かれるかもしれませんが、国税にも時効制度があります。
| 税金の種類 | 時効の年数 | 例外 |
|---|---|---|
| 国が税金を請求できる期間(消滅時効) | 原則5年 | 仮装・隠蔽など悪質な場合は7年 |
| 納税者が還付請求できる期間 | 5年 | 同様に悪質な事情があれば延長可 |
都は2019〜22年度分のみを納付し、それ以前の分(約20年分)は「時効」によって回収されない見込みです。
■ 現象から感じる“怒り”と“違和感”
この件に対して、SNSやブログ、コメント欄では次のような声が広がりました。
- 「自分たちは10%払ってるのに、都は払ってなかったなんて…」
- 「しかも時効でチャラ?納得いかない」
- 「税務署って何してるの?庶民ばっかり狙ってない?」
これはまさに、**「納税する側の不公平感」**が爆発した瞬間です。
実際に税務署は、すべての企業や自治体を定期的に調べているわけではありません。
■ 解説:税務署の調査はどのくらい実施されているのか?
◉ 税務調査の件数は?
- 全国に法人約280万社(2022年時点)
- 実際に税務調査されるのは 年に約10万件(全体の3〜4%)
つまり、96%以上の事業者は調査を受けずに動いているのが現実です。
また、調査の優先度もあります。
| 調査が入りやすい | 見逃されやすい |
|---|---|
| 高売上企業 | 小規模事業者 |
| 過去に問題があった企業 | 地方自治体の特別会計 |
| 怪しい動きがあるところ | 内部完結型の行政事業 |
都営住宅のような「外から見えにくい」「他の自治体も似た体制」の事業は、構造的に抜けやすいのです。
■ 考察:この問題は“誰”に責任があるのか?
一概に「東京都が悪い」と断じるのは簡単ですが、それで済ませると見落とすポイントがあります。
❶ 行政に自浄能力はあるか?
自己申告・自己管理で回っている特別会計に、外部からのチェックが入りにくいこと自体が制度上の問題です。
しかも「気づいても報告されない」「わざとでなくても、誰も止めない」──。これは個人ではなく構造の欠陥といえるでしょう。
❷ 税務署の限界と今後の課題
現在、税務調査には人手も時間もかかります。
ただし今後、AIによる異常検知・データベース分析の強化が進めば、こうした問題も「事前に拾える」仕組みが整う可能性はあります。
行政が「外からチェックされない存在」であり続けるなら、それこそ「行政の闇」が広がってしまうかもしれません。
■ 生活者として知っておきたいこと
最後に、私たちが生活者としてこの件から得られる“行動的な知恵”をまとめます。
✅ 消費税にも時効がある
→ 時効は納税にも還付にも関係します。納税トラブルに遭ったときは「5年」という数字を念頭に。
✅ 行政も“ミス”をする
→ 公的機関でも、意図せず未納や処理漏れは起きる。情報公開制度や議会質疑などを通じてチェックする意識が大切。
✅ 不公平感を放置しない
→ 納税する立場として、「透明な使い方」や「誰もが同じルールで裁かれること」が重要です。
■ まとめ|「税の公平性」を私たちの手で守る時代へ
今回の東京都の問題は、「誰かが得をしている」というより、**“誰も気づかず損も得もないまま時が過ぎた”**ことが本質でした。
でも、それが許されるなら──
「気づかなかったからOK」で、税の仕組みがゆがんでしまう。
この問題は、都の問題にとどまりません。
見えない領域をどう見えるようにするか。
税金の使われ方を、どうチェックしていくか。
その視点を持つことが、これからの社会を動かしていく鍵になるはずです。
